映画「いのちの停車場」公式サイト

5月21日公開

スタッフ

成島 出/監督

コメント

この映画には、宿命的なものを感じています。在宅医療については、十数年前に父を看取ったことから興味を持ちました。大正生まれの父は、最期、家に帰ることを望んでいましたが、当時はまだ医療体制が整っておらず、父の願いを叶えてあげられなかった。そのことにずっと後悔が残っていました。南杏子先生の小説も以前から拝読していたので、なにか運命を感じてね。吉永さんとは『ふしぎな岬の物語』の後、私が肺ガンを患って闘病していた時に、がん封じのお守りとお手紙を頂いて。「早く治して、また一緒に映画を撮りましょう」という言葉に勇気づけられました。今回、約束を果たすことができて嬉しいです。
死と生は表裏一体。この映画のテーマでもある、どう死ぬか? については、どう生きるか? ということをしっかりと見せていきたいと思っていました。重いテーマでしたが、松坂くんやすずちゃん、若い二人が太陽のように、映画を明るく照らし、吉永さんや西田さんが、全体をやさしく包み込んでくれたことで、おおらかに“生”を描くことができました。誰にでも死は訪れるという意味で、これは誰にでも起こりうる物語です。映画をご覧になった方一人ひとりが、人生やいのちの大切さについて考えるきっかけにしていただければ、大変嬉しく思います。

プロフィール

94年『大阪極道戦争 しのいだれ』で脚本家デビューし、その後、03年『油断大敵』で監督デビュー。藤本賞新人賞やヨコハマ映画祭新人監督賞を受賞。以降、『フライ,ダディ,フライ』(05)『孤高のメス』(10)など数々の話題作を手がけ、12年には『八日目の蟬』が第35回日本アカデミー賞で最優秀作品賞、最優秀監督賞など10部門を受賞する快挙を成し遂げた。15年には『ふしぎな岬の物語』で第38回モントリオール世界映画祭の審査員特別賞グランプリとエキュメニカル審査員賞を受賞。近作に『ちょっと今から仕事やめてくる』(17)『グッドバイ~嘘からはじまる人生喜劇~』(20)がある。

平松恵美子/脚本

プロフィール

大学卒業後、OL生活を経て大船撮影所内の鎌倉映画塾に第一期生として入塾。在塾中に山田洋次監督の『学校』(93)『男はつらいよ寅次郎の縁談』(93)に参加。卒塾後、山田組に助監督としてほぼ全作に加わる。『武士の一分』(06)からは共同脚本も務め、これまで『母べえ』(07)、『おとうと』(10)、『母と暮せば』(15)といった吉永主演作の脚本を担当。それらの作品や『家族はつらいよ』シリーズで日本アカデミー賞優秀脚本賞を9度受賞している。

相馬大輔/撮影

プロフィール

日本映画学校卒業。卒業後、撮影助手として経験を積み、『SP THE MOTION PICTURE 野望篇』でチーフカメラマンとしてデビュー。近年では『人魚の眠る家』(18)『決算!忠臣蔵』(19)、『望み』(20)等。